by uruotte

漢方の知恵で花粉症対策(2) 熱の花粉症ー目のかゆみ・肌のかゆみ対策~美髪のための養生のススメ⑮

漢方の知恵で花粉症対策

前回はくしゃみ・鼻水・鼻づまりタイプの花粉症の対策をご紹介しました。

 

前回の記事↓

漢方の知恵で花粉症対策(1)冷えの花粉症ーくしゃみ・鼻水・鼻づまり対策~美髪のための養生のススメ⑭

 

今回は「目を取り出して洗いたい!」というほどツライ“かゆみ”の花粉症対策と、花粉症の根本的な治療と予防のための基礎知識をお伝えします。

アナタはどちらの花粉症?

②目のかゆみ・肌のかゆみがたまらない

花粉症には2つのタイプがあります。

ひとつは、くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった、鼻の症状がひどく出るタイプです。

その原因は体の中の「冷え」。春になっても体に冷えが残っていることで、水分の代謝が低下して、よぶんな水分が水毒となり、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状が発生します。

もうひとつのタイプが「熱」が原因の花粉症です。このタイプは「目を取り出して洗いたい!」というほど、目のかゆみが強く出るのが特徴です。

かゆみタイプの花粉症の原因と特徴は?

  • 目のかゆみがひどい
  • 肌がチクチクしたり、かゆみを感じる
  • くしゃみ・鼻水は軽度
  • いらいらしやすい
  • 便秘しやすい

これが“かゆみタイプ”の花粉症に多い症状。春は気温が上がって、気も上に昇りやすくなります。日頃からストレスが多く、熱しやすい体質の人は、体の上部、つまり顔や頭に「熱」がたまり、目のかゆみや充血、肌のかゆみといった症状が起こりやすくなります。体を冷やす石膏(せっこう)が入った「越婢加朮湯」が代表的な漢方薬です。

かゆみの花粉症の対策は?

「冷え」による花粉症は、体を温めて、汗をかき、よぶんな水分(水毒)を外に出すようにすることが、ポイントでした。

「熱」による花粉症は、「冷え」による花粉症よりも少し複雑です。熱があるなら冷やせばいいだろうと思いますが、体はそんなに単純ではありません。

体を冷やすと血行が悪くなりますよね。すると体内の水の巡りも悪くなります。水は重い性質があるので、下半身には水が溜まって冷え、上半身は水分不足で熱が溜まりやすくなります。すると、顔や頭を冷やせなくなり、目のかゆみや充血といった炎症の症状がでやすくなってしまうのです。

そこでポイントとなるのが“巡り”です。

〇運動やお風呂で体をあたためて、全身の血の巡りをよくしましょう

〇座る時間をなるべく減らし、歩く時間を増やしましょう。むくみが改善され、水分が全身にバランスよく巡ると、目のかゆみだけでなく、ドライアイや疲れ目も起きにくくなります。

〇深呼吸をして、ストレスをためないようにしましょう。イライラは内側からの火となって、目のかゆみや肌のかゆみを助長します。

〇ミントやセロリ、ウドやタラの芽などの山菜類や緑茶には、熱の邪気を解毒する働きがあるのでおすすめです。

かゆみをラクにするツボ

晴明(せいめい)

目頭のやや上の凹みにある晴明。軽く押すだけで独特のひびきを感じます。親指を当て、少し上に向かって優しく押し上げて、深呼吸をしながら30秒ほどキープ。眼球を直接刺激しないように注意してください。その名の通り、目を明るくすっきりとさせるツボです。

 

合谷(ごうこく)

万能のツボといわれるほど、いろいろな効能がある合谷ですが、いちばんの特徴は、顔や頭の炎症を抑える働き。目のかゆみや鼻炎はもちろん、歯痛や口内炎、中耳炎、頭痛など、熱が原因となるトラブルに広く使われます。位置は手の親指と人差し指の間。骨が合わさる部分から親指の幅一本ほど指先寄りです。逆の手の親指で、人差し指の方向に向かって、1分ほど押し揉みましょう。

温シップ

目のかゆみと同時に、目のかわきや異物感を感じる方におすすめなのが、目の周りを温めること。夜はゆっくりホットタオルで温シップ。昼間はお茶を飲むときに、カップを目に近づけて蒸気を当てたり、温かいペットボトルを目の周りに押し当てたり、コロコロ転がして、顔のコリを取り、血行を促しましょう。

漢方からみた花粉症のしくみ

最後に、漢方からみた花粉症のしくみをご紹介させてください。

「しくみなんてめんどうくさい。手っ取り早く治療法だけ知ればいい」と思うかもしれませんが、体は生活習慣の小さな積み重ねで、良くも悪くもなるものです。しくみを知れば、自分の体調が傾いたときに改善する食べ物、気を付けるべき食べ物、服装やお風呂の入り方など、養生のコツが自然にわかるようになります。

漢方では、病は邪気によるものだと考えています。

花粉症を引き起こす邪気は春先に強くなる「風邪(ふうじゃ)」。風邪が花粉をつれて、体内に運び入れることによって、花粉症が発症します。

風邪は風の性質をもつ邪気。きまぐれに、そしてすばやく吹き抜ける春の風に似た特徴をもっています。

  • 症状が突然起こる
  • 症状が出たり出なかったりする
  • 症状が固定せず、変化しやすい
  • 上半身、とくに顔や頭に症状が出やすい

これらが春の風邪の特徴です。
ある日、突然くしゃみや鼻水が止まらなくなったり、もうれつに目がかゆくなったり、頭がぼーっとしてしまったり。花粉症には、風邪の典型的な性質があらわれていますね。

衛気は邪気から体を守る防衛力

では、風はだれの周りにも吹いているのに、花粉症になる人とならない人がいるのはなぜでしょう?

漢方では、“衛気(えき)”という名前の気が、体を取り巻くように流れていると考えています。衛気は病気にならないための「防衛力」のようなもの。衛気がしっかりしていれば、邪気が体に入ることはありません。

でも、疲れがたまって衛気が不足したり、体が冷えて衛気の流れが悪くなったているときに、タイミング悪く邪気にさらされると、邪気が体に入り込んでしまうのです。

花粉症をなるべく避けることが、花粉症対策の基本。マスクやめがねで物理的に防ぐだけでなく、体を冷やさず、しっかり動いて、体自体の防衛力=衛気を高めておくことも大切です。

まとめ

冷えが原因の花粉症は、体を温め、よぶんな水分(水毒)を追い出すこと。熱が原因の花粉症は“巡り”を改善して、熱や水毒をためないようにすること。

そうすれば、衛気が正しく働いて、花粉から体を守ってくれます。ぜひ日常生活に漢方の知恵を取り入れてくださいね。

鳴海美紀さん

国際鍼灸医師・国際薬膳師・健康美容コミュニケーター・養生文化研究家

鳴海美紀(なるみみき)さん

1997年北京中医薬大学に留学し、国際鍼灸医師、国際薬膳師を取得。さらにタイやスリランカ等アジア諸国の伝統医学を幅広く研究。帰国後は漢方・薬膳セミナー、美容サロンのメニュー作成・技術指導、店舗への薬膳レシピ提供、テレビ番組の企画、健康記事の執筆・監修などを通じ、東洋医学をベースとしたインナービューティ&ヘルスを提唱。

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