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みなさん、花粉症は大丈夫ですか?
私はとうとう花粉症を発症してしまいました。昨年もこの季節にくしゃみが出ていたので、あやしいとは思いつつ、頑なに「否認」していたんです。でも、今年はごまかしようのない“くしゃみ”と”鼻水“に見舞われています。
養生を説く身でありながら、花粉症をカミングアウトするのは情けないのですが、「知識がある」ことと「実践する」ことは違います。とくに花粉症は発症するまでは「自分は関係ない」と思ってしまうもの。実際、私も何の対策もしていませんでした。
その反省も含めて、今日は花粉症の漢方養生についてお話したいと思います。ツライ花粉症の症状を軽くしてくれる、即効性のあるツボ押しなども紹介します。
すでに花粉症の方も、明日から花粉症の仲間入りをするかもしれないアナタも、ぜひご一読ください。
アナタはどちらの花粉症?
①くしゃみ・鼻水が止まらない
花粉症には大きく分けて2つのタイプがあります。
ひとつは、くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった“鼻の症状”がひどいタイプ。もうひとつは、目のかゆみや肌のかゆみといった“かゆみ”が強く出るタイプです。
私は典型的な“鼻タイプ”。朝起きると、まず大きなくしゃみ。しかも10回も連続で止まりません。
そこでまず行うのが簡単なお掃除です。クイックルワイパーのドライシートをまず手にとって、テーブルや棚などをざっと拭き、床を拭いてから、今度はウェットシートでもう一度。
「え~、当たり前。漢方と関係ないじゃない!」と思うかもしれませんが、花粉やホコリはアレルギーの最大の原因。まずはいちばんの原因を排除しなければなりません。
部屋にいるときはこれでだいぶ落ち着くのですが、外に出るとまた大変。鼻がつまってくると頭もぼーっとするし、くしゃみをしたり、一日に何十回も鼻をかんだりしていると、首や背中のコリもひどくなってしまいます。
鼻の花粉症の原因と特徴は?
- 止まらないくしゃみが出る
- さらさらした透明な鼻水が出る
- 鼻のつまりは軽度
- 目のかゆみは軽度
- 集中力がなくなる
- お腹をこわしやすい
これが鼻の花粉症に多い症状。冷えによって、水の巡りが悪くなると、鼻水や鼻づまりなどの症状がひどくなります。花粉症の漢方薬として有名な「小青竜湯」が処方されるのが、このタイプの花粉症です。
鼻の花粉症の対策は?
「小青竜湯」は、麻黄、桂皮、乾姜などの生薬が体を温め、発汗を促して、冷えと水を追い出す薬です。体に溜まっている余分な水分は、体を冷やし、鼻水や痰、体の重だるさの原因になります。さらさらとした鼻水が出て、くしゃみが止まらない鼻の花粉症は、体を温めて水の巡りを改善することがポイントです。
〇この時期に注意したいのが春の「ひんやり」。日中はかなり温かい日でも、夜になると急に冷え込むことも。気温が下がる夜の薄着は禁物です。風邪、寒邪の邪気の入り口は首元です。ストールなどを持ち歩き、首元を温かくしていれば、防衛力もアップします。
〇運動やお風呂で汗をかいて、よぶんな水分(水毒)を外に出すようにこころがけましょう。
〇冷たい飲み物は体の中心を冷やしてしまいます。ふだんの飲み物はホットか常温。ビールを飲むときには、先におつまみを食べてお腹を冷えから守りましょう。
〇シソやパクチー、ネギやショウガなどの香りの強い野菜には、気の流れを活性化して、体を温める働きがあるのでおすすめです。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりをラクにする3つのツボ
迎香(げいこう)
小鼻の真ん中の高さでほうれい線の上を人差し指で押さえると、指がおさまる凹みがあります。これがくしゃみや鼻づまりに効く迎香というツボ。人差し指を迎香にあて、30秒ほど刺激を加えると、くしゃみや鼻づまりがラクになっていきます。
鼻通(びつう)
小鼻のつけ根。ほうれい線の上の凹みに指を当て、やや強めにぐっと指を押し込みます。その名の通り、鼻の通りがよくなるツボです。
上星(じょうせい)
髪の生え際から親指の幅一本分上にあるのが上星です。鼻と頭をスッキリさせて、集中力を取り戻してくれます。爪楊枝を10本ほど束ねたものでトントンと叩くように刺激するのがおすすめ。あらかじめ机などを叩いて、尖った先端をつぶしておきましょう。芯の出ていないボールペンの先などを利用してもOKです。ただしやり過ぎて、肌を傷めないように気を付けてください。
まとめ
花粉症の治療は、即効性のあるもの、だんだんと体質を改善していくもの、原因をブロックするもの、全方向から取り組んでいくことが大切です。
次回は、花粉症のもうひとつの“かゆみ”タイプについて。「目を取り出して洗いたい!」というようなツライ症状を和らげる生活のポイントや即効のツボをご紹介します。
漢方の知恵で花粉症対策(2) 熱の花粉症ー目のかゆみ・肌のかゆみ対策~美髪のための養生のススメ⑮
鳴海美紀(なるみみき)さん
国際鍼灸医師・国際薬膳師・健康美容コミュニケーター・養生文化研究家
1997年北京中医薬大学に留学し、国際鍼灸医師、国際薬膳師を取得。さらにタイやスリランカ等アジア諸国の伝統医学を幅広く研究。帰国後は漢方・薬膳セミナー、美容サロンのメニュー作成・技術指導、店舗への薬膳レシピ提供、テレビ番組の企画、健康記事の執筆・監修
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